道徳哲学講義
- 作者: T.W.アドルノ,Theodor W. Adorno,船戸満之
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2006/08/01
- メディア: 単行本
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この本のなかで、アドルノはカントについていろいろ興味深い問いを出しているし(でも回答を与えてないものも多々あり)、他にもフランクフルターらしくカントを精神分析的に読んだり、心情倫理(カント倫理学はこっち)/責任倫理の話を出してきたり、理性批判をしたり、と。んで、メモというかまとめ。
今日における道徳哲学の可能性の問題についてはさしあたり、その骨子は次の試みにあるという以外のことを述べることはできないでしょう。すなわち、わたしが皆さんに、すくなくともひとつのモデルを提供しようと試みた検討作業そのものを意識すること、すなわち道徳哲学批判、道徳哲学の可能性に対する批判、道徳哲学のアンチノミーについての意識を、意識に取り入れるということです。節度を守れば、これ以上の約束はできません。(277)
- 自省、自己反省の契機が、かつて道徳的カテゴリーと呼ばれたものの真の遺産相続者になった(280)
- 人は良心を持たなくてはならないが、良心に閉じこもってはならない。(281)
つまり、純粋理性(心情倫理・良心)だけ信じてればいいわけじゃないし、かといって目的のために手段選ばずの責任倫理で突き進んでもだめ。自省し、自分の立場を相対化することが必要。まあ、『啓蒙の弁証法』から予想できそうな答え、ではあるね。