来るべき精神分析のプログラム

来るべき精神分析のプログラム (講談社選書メチエ)

来るべき精神分析のプログラム (講談社選書メチエ)

 読了。全体的には議論がすっきりしていてわかりやすい(と思う)。言語以外に情動やイメージの役割を重要視したり、エディプス期をふたつに分けて質の異なるもの(認知的と規範的)として議論するあたりは読んでてなるほどなるほど、と。でもわかるようでわからないオートポイエーシス用語(作動とかカップリングとか)がいっぱい出てくるのが気になるけど、なくてはならないものだろうか。最後に来るべき精神分析がどういうものかについての引用。

 来るべき精神分析において重要なことは、精神分析固有の治療経験の深化であることはもちろんのこと、それに加えて、広く人間の経験についての作動の知を取り入れることである。精神分析がその固有の作動の局面に、広範な人間の経験に関する作動の知を接合させることができるなら、精神分析は自らを大きく更新し、私たちの新たな生の変化の技法となりうるだろう。そのような生の技法が、今まさに、必要とされているのである。(229)