幻想の感染
- 作者: スラヴォイジジェク,Slavoj Zizek,松浦俊輔
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 1999/11
- メディア: 単行本
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「イデオロギーとの距離感かな。たとえば、ジジェクがこう言うとき。
イデオロギー的な一体化は、自分がそれに完全には一体化していないという自覚を維持しているときにこそ、その真の拘束力を及ぼしているということであり、そのイデオロギーの奥には豊かな人間らしい人がいる、つまり『イデオロギーがすべてではなく、イデオロギーの仮面の奥では、私はやはり人間らしい人間なのだ』ということが、まさにイデオロギーの形式であり、その『実際の効力』があるということである。」(42)
だから、ジジェクにとっては「イデオロギーなんかもう終わってるよね」(=『それって構築されているにすぎないんだよ』とも言える?)とか言う人こそが、まさにイデオロギーの拘束力のなかにある、ということだ。じゃあ、どうすりゃいいのよ。と言いたくなるところ。同じ章で、ジジェクは「抵抗」についてこんなこと言っていることが参考にはなるかしら。
「『内在的逸脱』のポイントは、抵抗が〈権力〉に内在し、権力と反権力は、お互いがお互いを生むということだけではない。〈権力〉そのものがもはや支配できない抵抗という過剰を生み出すということだけではない。……この最後の点はさらに徹底しなければならない。権力構造そのものが、内部から分裂しているということだ。どれは自らを再生し、その〈他者〉を含むためには、それの基礎となる内在的な過剰に依存しているということである。ーーヘーゲル的な思弁的同一性の観点から言えば、〈権力〉はつねにすでに自らの逸脱であり、それが機能するとすれば、一種のいかがわしい補足に依存しなければならないということである。」(50-1)
とはいえ、このことの詳細については、また別の本でジジェクさんに聞きましょう。