読む哲学事典
- 作者: 田島正樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/05/19
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 43回
- この商品を含むブログ (40件) を見る
- 疎外論について
本来は自己の内的本質であったものを自らの外に投影し、その起源を忘却して、主体が下化されたものに従属し、呪縛されてしまう事態を疎外と言う。……しかし、もし資本主義的生産が疎外一般の一事例でしかないとすれば、それが特殊この歴史的段階において克服される必然性は見出さないだろう。なぜなら、宗教も疎外なら、国家も法も疎外であり、およそ文化一般、言語すらも一種の疎外状態であると言わざるを得ないからである。(149)
- それに対して、資本の特殊性を述べるために考えられたのが、物象化論だよ。
あくまでも物象化論の眼目は、商品貨幣経済における価値形態の物心性の謎を解く点にあり、ただ共同主観的な現象であるというだけで、文化一般の超歴史的現象に拡大適用されてはならない。それは一見、物象化論の射程を拡大する理論的深化のように見えても、実際には物象化論の真価を台無しにしてしまうものでしかないのである。もし、言語すらも物象化のひとつであるとしたら、物象化の克服が歴史的・政治的課題となるはずはあるまい。物象化現象が、ひとつの社会的言語ないしは描写として解読されねばならないとしても、言語が物象化現象として解明されるわけではないのだ。(152)
というわけです。じゃあ、自分がいままで抱いていた物象化論のイメージがどこからきているか、考えてみたくもなるわけだが、日本の場合は、やっぱり『物象化論の構図 (岩波現代文庫)』なんかしら(世界だとルカーチなんかな?)。wiki(http://ja.wikipedia.org/wiki/物象化)をみると、廣松物象化論はいままで自分が物象化論に抱いていたイメージとぴったりで、田島物象化論が批判の対象とする方向を目指しているしね。
とまあ、もう間もなく、眠りへ落ちると思うけど、その前に、メモしとかないと忘れそうだったんで。