親密性の社会学
親密性の社会学―縮小する家族のゆくえ (SEKAISHISO SEMINAR)
- 作者: 筒井淳也
- 出版社/メーカー: 世界思想社
- 発売日: 2008/01
- メディア: 単行本
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- ギデンズの「純粋な関係性」も実は、年齢・学歴・人種・国籍といった同類性が背景にあるよというもっともな指摘。
- 親密性を財としてとらえたとき、それは交換が困難なタイプの財であり、市場化・国家による介入によっては調達しづらい。
- 親密性をネットワーク論とか効率的な財・公平な財という視点からとらえるとけっこうみえてくるものもある。
- つか、この親密性・市場・国家という区別ってヘーゲルのものにぴたりあてはまる。ということで、それを汲むホネットの承認の三形式にもけっこうあてはまるんじゃ?(まあ、親密性=愛、国家=法、としても市場が連帯と一致するかどうかは疑惑だけど。)
- 社会的ネットワークと親密性の関係がいまひとつよくつかめない。うすい親密性=社会的ネットワーク??
親密性ということで、けっこう期待して読みますた。ルーマンとかギデンズの話だけじゃなくて、効率的な財・公平な財との比較から分析されるとけっこう新鮮。理論と実証をともにやってくれるという心意気はとても共感できるのだけど、1章から8章まですすんで読んで行くと、最終的になんだかずいぶんと遠いところまできたな……という感じもする。つまり、前半の理論部分と後半の実証部分が上手くつながっているようで、つながっていない、そんな感じ。
まあ、じっさい理論的な道具立てをいかに変数化するのかというのが難しいし、さらには二次分析でするとなると、それに見合ったものを探してくるしかないしなあ。といっても、自分がちゃんと著者の意図を連続的に読めてないという可能性が高いかもしれないけどね(笑)と、とりとめもない感じになってしまったな。とりあえず、親密正論としても、理論実証問題としても、二次分析へのアクセスとしてもとても有用なことはたしかデス。