ダ・ヴィンチ12月号より

ダ・ヴィンチ 2007年12月号

ダ・ヴィンチ 2007年12月号

インタビューで井上雄彦曰く

ストレートな台詞を登場人物に言わせることは、ちょっと恥ずかしさをともなう行為なんですね。ある読者にとっては、”いい台詞”とされる言葉も、斜に構えられてしまうと”クサイ台詞”として受けとめられてしまう。でも、そうした台詞に対する照れをなくさなければならない。照れくさいと感じていても堂々と出さなければいいけない。その覚悟が大事だと、あるとき気がついたんです。みんなが本当は持っているはずの良心に訴えかける台詞を、登場人物たちに言わせていきたいですから。

これって、マンガというメディアだからこそベタにできるし、やってもすんなりと引き受けてもらえるんじゃないかとも思う。そういう意味でマンガのメディア形式ってすっごいな。たぶん、おなじような台詞を同じような状況設定で小説で描かれても、ベタじゃなくて、ネタとして書いてるんじゃないかって思えちゃうもん。まあ、現時点でのマンガというメディアと小説というメディアでは小説の方が、メタ視線度は高いからかしら。その意味で、「希望」とかちょっとクサいことを語るのには、マンガっていうベタなメディアの方が、ある意味効果があるように思えちゃうけど、簡単に伝わりすぎることにも、問題がありうるからなあ。